映画「ファウスト」 (1926年) あらすじと感想【ネタバレあり】
「吸血鬼ノスフェラトゥ」のF.W.ムルナウ監督が、ゲーテの戯曲を元に製作したドイツ映画です。
悪魔メフィスト役を、第1回アカデミー賞で最初に主演男優賞を受賞したエミール・ヤニングスが演じています。
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あらすじ
闇の扉が開かれ、悪魔たちが地上で暴れ始めた。
そこに一人の天使が立ちはだかり、人間は神のものである、と宣言して悪魔たちの暴走を止めようとする。
人間は善人になるか悪人になるかを自分で決められる自由意思を持っていることが素晴らしい、と天使は言う。
そして悪魔たちに下界を覗かせると、そこには学問を教えている錬金術師・医学博士の老人・ファウストがいた。
あんなヤツ、口先ばかりで本当は悪人に決まってる。
悪魔メフィストはそう言って天使と賭けをした。
ファウストの魂から神聖さを破壊して悪魔がもぎ取ったら、地上はメフィストのものになる。
天使もその賭けに了承した。
祭りで賑わう街の上。
メフィストが街全体に覆いかぶさると、人々がバタバタと倒れていく。
疫病の発生に、たった数日で街の人口の半数が死の床についた。
ファウストも昼夜問わず神に祈るが疫病が収まる気配はない。
助けを求めにきた少女の母親を救えず、ファウストは信仰も学問も役に立たないと絶望し、蔵書を焼き捨てた。
しかし火にくべた本に「悪魔を呼び出せば、この世の総ての力と名声をもたらしてくれる」と書いてあり、ファウストは急いでこの本を取り出した。
十字路に行き悪魔召喚を行う。
そこで雷光と共にメフィストが現れた。
恐れをなしたファウストは家に逃げ帰るが、メフィストは先回りして彼を待っていた。
一日だけお試しで契約してみろ、とメフィストは誘う。
感想
悪魔の力を手に入れたけど、十字架を見られなくなってしまったために石をぶつけられてしまうファウストおじいちゃん。
せっかく疫病を治してあげたのにこの仕打ち… 人間とは恩知らずなものなのでしょうか。
すっかり気落ちしたファウストが次に求めたものは「若返り」。
もう書を捨てて街に出てヒャッハー! 若さはバカさじゃー! とばかりに享楽に更けましたがあっという間に虚しくなりました。
ただの若さの消費… 男子高生の無駄遣い。いや、高校生じゃないけど。
勉強ばかりだった青春を取り戻したかった、でも実際やってみたら大したことなかった… あるあるある。
私は逆に若返ったら今度こそ勉強頑張りたいな~、と思ってます。
いろいろ後悔が多いんで (;´∀`)来世でこの後悔をちゃんと覚えていることを期待
せっかく若返ったのにガッカリしてションボリ顔になっちゃったファウストでしたが、若い美少女グレートヒェンに恋をして一気にお花畑になります。
若い体に有り余る体力で彼女を追いかけ回し、かなり強引に自分のものにしたファウスト。
敬虔なクリスチャンだったグレートヒェンですが、禁忌の婚前交渉で身籠ってしまいます。
そんな彼女を手籠めにしたファウストに怒り狂ったグレートヒェンの兄ヴァレンティンと母を殺してしまったファウスト。
グレートヒェンをその場に残して自分はメフィストと一緒に逃げてしまいます。
卑怯者―――!!
ファウスト、実年齢は爺さんのくせにホント中身が幼稚なんですよ。
勉強して膨大な知識をつけても人間力が残念。
こういうところが「ファウスト」が有名な作品でありながら、その主人公としてのファウストに魅力を感じている人が少ない所以ではないかしら。
少なくとも私は “ファウストさん推し♡” という人を見たことも聞いたこともありません。
さてこの “とっちゃん坊や” ファウストのせいでグレートヒェンは苦難の人生を歩みます。
晒し台の上に立たされ、赤ん坊を抱えて吹雪の中を彷徨っても誰も助けてくれず、そのために赤ん坊が亡くなると「子殺し」の罪で火刑に処されてしまうのです。
不幸で可哀想すぎるのですが、悲劇になるほどこのグレートヒェン役の女優さんの美しさが増す皮肉。
いやもう、すごい綺麗な人で…
首を傾けて涙を流す姿が、とても絵画的です。
それもあって、後半部分は目が離せないくらい面白い作品でした。
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