映画「肉体の門」 (1988年版) あらすじと感想【ネタバレあり】
人気小説の5度目の映画化作品です。
メガホンを撮ったのは五社英雄監督。
主演はかたせ梨乃さん。
他にも錚々たる顔ぶれが揃い、敗戦直後の混乱期を力強く生きる人たちの姿を描いています。
あらすじ
昭和22年。
米軍占有下の東京ではパンパン (街娼) たちがグループになって活動していた。
頻繁に大規模な取り締まりがあり、せんをリーダーとする「関東一家」のみんなも固まって逃げ回る。
そのとき、巻き込まれる形で逃げていたモンペ姿の女性もせんたちと一緒に行動。
無事に廃ビルのアジトまで逃げ切り、モンペの女性には幾ばくかの金を渡して他の場所へ行くように言う。
しかし女性は、夫が戦死し、家も焼失して行く場所がないので仲間に入れて欲しい、と懇願してきた。
仲間のマヤの口添えもあり、せんはその女性・町子を仲間に入れる。
「関東一家」には決まり事が3つあることを町子に教えた。
そのうちのひとつは、いずれ皆で開業するダンスホール “パラダイス” の資金を稼ぎの中から出資すること。
平和な世が来たら、足を洗ってみんなでお店を切り盛りするのが共通の夢なのだ。
そしてこのアジトには御本尊様がある。
それは爆発し損ねた1トン爆弾のことだった。
これがあるため、この場所を狙うヤクザ袴田組の組長も、せんたちを強硬に追い出すことができないのだ。
廃ビルの前を流れるドブ川に停泊している船には、彫師の留さんが住んでおり、せんは薔薇の刺青を太ももに彫ってもらっている。
シマを巡って反目しているパンパン・グループ「らくちょう一家」とたまにやり合ったり、新参者である町子の羽振りが良さそうだったり、多少気になることはあるが、せんは楽観的だった。
なにしろ心の中には “パラダイス” という夢がある。
ある日、手負いの男がアジトに現れた。
気絶している男の所持品を物色し、伊吹新太郎という名前の元軍人で、ボルネオ島で戦っていたことが分かる。
ボルネオで兄が戦死しているマヤは、伊吹に兄のような感情を持ち助けてあげるように頼みこむ。
マヤの気持ちを尊重してせんは伊吹をアジトに匿いながら介護した。
起き上がれるようになった伊吹の、独特のタバコの持ち方を見たせんは、戦時中に自分を助けてくれた兵士だと気づくが、伊吹本人には言えずにいた。
そしてある日、町子が賭場に通っていることを留さんから聞き、貯めこんでいたパラダイス開業資金がゴッソリなくなっていることに、せんたちは激怒する。
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感想
ラストシーンで大爆笑して、他の部分が全部吹っ飛びましたwww!!
にっ、仁支川峰子さんの顔ォォォーーー!
女優の顔になんてことしてるんでしょうw
爆風を受けてるからリアルっちゃリアルなんでしょうけど… ダメだ面白過ぎる… 笑いが堪えられない (≧▽≦)
ただでさえ顔全体がビブビブして愉快な状態になってるのに、こっち向かないでww
口の中に空気が入って、ますます面白い顔になってますからー!
この顔以外にも、仁支川さんは裏切り者の町子役のため、リンチを受けるなど過酷なシーンを請け負っています。
五社監督らしく、過激なシーンはかなりあり、かたせさんとマヤ役の加納みゆきさんのビンタ応酬シーンでは、ふたりとも頬が真っ赤に腫れて痛々しかった!
ふたりとも途中から泣いてたけど、アレ痛くて泣いたんだろうな~ (;一_一)
ちなみに加納さんも仁支川さんの隣で顔ビブビブになってます。
こっちを振り向かなかっただけマシでしたが、あぁでもやっぱり笑う… ごめんなさい。
こうした過激ぶりに目が行きがちになりますが、絶望的な世相の中でも夢を見ながら日々を生きていく人間たちのたくましさを描くヒューマンドラマであります。
その夢も潰えて希望を失くしても、プライド高く華々しく散ったせんの強さ。
そして死を覚悟しながら母と妹の仇を討って散った「らくちょう一家」リーダーのお澄の生き様。
矜持のある強くカッコいい女性たちの姿は、やはり五社監督の十八番。
最後の最後に大爆笑を誘うとは思いもしませんでしたが、そこも含めて面白かったです。
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