映画「ファンシー」あらすじと感想【ネタバレあり】周りを気にせず自分の時間を大切にする
山本直樹さんの短編漫画を、永瀬正敏さんと窪田正孝さんのダブル主演で映画化した作品です。
ヒロイン役の小西桜子さん、そして廣田正興監督のデビュー作になります。
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あらすじ
地方都市の温泉街で郵便配達員をしている鷹巣は、夜は彫師の副業をしている。
彼の周囲には同様にダブルワークの人間が多数おり、郵便局長も夜は女衒である。
ホテル経営者の友人もヤクザの組長をしているのだった。
鷹巣の配達先には詩人の南十字星ペンギンの住所も含まれる。
毎月「月間ファンシーポエム」という雑誌に詩が載っているペンギン宛てのファンレターはそこそこ多い。
喧騒から離れたペンギンの家は、鷹巣の絶好の休憩場所だ。
異常に寒くはあるが、ウィスキーも飲める。
ファンレターを読んで口元をほころばせるペンギンを見て興味を持った鷹巣は、その手紙を後ろからのぞき込んだ。
ただのファンレターではなく、文通をしているのだと文面で分かった。
「月夜の星」と名乗っている女性だ。
微笑ましく読んでいた鷹巣だったが、月夜の星の文章は後半に行くにつれて重みを出してきた。
ペンギンの妻になることを望んでおり、一生傍で仕えさせてほしい、と懇願するに及んで鷹巣もペンギンも青ざめる。
この女はヤバい。
手を切ったほうがいい、と鷹巣は助言したが、月夜の星は本当にやってきてペンギンの家に居着いてしまう。
感想
昭和に取り残されたような雰囲気のレトロな温泉街です。
そこで暮らす人たちも、時代に置いて行かれたようなチンピラや嬢が多く存在し、レトロながらの猥雑さが溢れています。
そこにマイナー系映画が多い永瀬正敏さん。
こういう雰囲気が似合っている。
久々に見たのですが、年取って小沢仁志さんに顔が似てきたような…?
ずっとサングラスをかけているせいかもしれない (;´∀`)
ただ… 本気893の貫禄がある小沢さんとはちょっと違っていて、永瀬さんはいつまでもアロハ着たチンピラの風情があるなぁ、と変な感想を持ちました。
893や殺し屋がゴロゴロいる世界ながら、昭和の任侠物のような重厚な空気はなく、軽いタッチで描かれています。
でも泥臭く猥雑な雰囲気に「どこがファンシーやねん」と問いたくなりますが、ペンギンくんのおうちはポップでファンシー。
そんなおうちの中に引きこもって浮世離れしているペンギンくんの存在自体がファンシー?
気の合う文学美少女 “月夜の星” ちゃんと一緒に暮らしていてもEDで手が出せません。
ピュアなペンギンくんとは対照的に鷹巣はワイルド。
月夜の星をオラオラで攻めて陥落させ、しかも刺青の彫り甲斐がありそうな綺麗な背中に釘付けです。
彼女を巡っての三角関係かと思いきや…
実は意外や意外、ペンギンくんを巡っての鷹巣 vs 月夜の星、という構図が「嫉妬」という言葉で浮き彫りになります。
そして戦うふたりをよそに、ペンギンくんはひとり外に出る勇気を出し、月を求めて山に登りました。
…いくら低い山とはいえ、引きこもりが水分も持たずにいきなり登山なんかしちゃダメです。
死にかけたペンギンくんの元には鷹巣が残り、月夜の星は去りました。
ピュアに見えたペンギンくんでしたが、彼女のことは詩作のネタとして存分に使ったので未練はありません。
それどころか、また別のファンの子と暮らしてみようとして鷹巣に「アンタも懲りないねぇ」と呆れられて映画終了。
最初と同じ空気感で、ふたりでまったり過ごす日常がこれからも続くことを示唆しているラストです。
周囲で人が殺したり殺されたり、物騒なことが起こってもこの町もこの二人も変わらない。
巻き込まれることなく、喧騒から一歩離れた場所にいる彼らは、周りを気にせず「自分の時間」を満喫。
何度か出てくる「全部自分の時間だ」という言葉は、周りを気にせずマイペースに進め、というメッセージのように思えました。
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