映画「読書する女」あらすじと感想【ネタバレあり】本好きのお宅訪問は好奇心を満たす
「真夜中の恋愛論」のミシェル・ドヴィル監督作品です。
主演は「夜よ、さようなら」のミュウ = ミュウ。
現実世界の女性と本の中の女性の二役です。
本の中の登場人物である将軍夫人を「天井桟敷の人々」「パルムの僧院」のマリア・カザレスが演じています。
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あらすじ
彼氏と同じベッドに入り込んだコンスタンス。
これから「読書する女」という本を読む。
内容が気になる彼氏のためにその本を朗読することにした。
「読書する女」の主人公マリーは、自分の美声を活かして朗読の仕事をすることにした。
広告を出してもらうが、代理店の担当者はあまりいい顔をしない。
今は朗読テープなどもあるのに、なぜ相手の自宅に出向く必要があるのか意味がわからない。
ましてや女性である。
危険な目に遭うかもしれない、と危惧しているのだ。
しかし意欲を燃やしているマリーは歯牙にもかけない。
さっそく手紙が届き、最初の依頼人に会う。
下半身不随の少年エリックは、もうすぐ15歳になる。
彼にはモーパッサンの短編「髪」を朗読した。
マリーが読んでいる間、内容とマリーの太ももに興奮したエリックは発作を起こしてしまう。
すぐに病院に運ばれ、医者や母親に刺激的な本を読まないように注意を受けてしまった。
次の依頼人は、自称100歳で盲目の孤独な将軍夫人。
彼女はトルストイをはじめロシア文学に傾倒しているマルクス主義者である。
希望通り「戦争と平和」の中から夫人がお気に入りのページを朗読する。
夫人のメイド・ベッラは下着の中に蜘蛛がいて、足を噛まれることに悩んでいた。
そして代理店担当者が心配したとおり、マリーに性的な興味を持って依頼してきた会社社長からの依頼を受ける。
デュラスの「ラマン」を読むと最初は寝ていたくせに、起こすとまた初めから読ませて、そんな煽情的な本を読むのが悪い、と喚いて露骨に体を狙ってきた。
他の依頼者は、両親が忙しいため本を読み聞かせしてもらえない6歳の少女である。
彼女には「不思議の国のアリス」を読むが、アリスのような冒険がしたい彼女の誘いで遊園地に出かけてしまい、誘拐犯として警察の取り調べを受けてしまった。
これらの依頼も終息していき、朗読者を辞めようと思っていた頃、老判事からの新しい依頼が来る。
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感想
1988年の作品です。
それなのに、スカートとニーソックスの間でチラ見えする生の太もも部分「絶対領域」に興奮するエリックくん。
時代を先取りしてます!
なにしろこの言葉がなかった時代でそこに目を付けるとは… なんというか萌センサーが神懸っている、と感心しました ( ̄▽ ̄)
発作を起こすなんて、不幸。
できれば「萌え~」と言いながら鼻血吹いて倒れてほしかったわ。
いろいろと奇妙な雰囲気の映画です。
エリックくんの家は全体的に濃い目の緑で統一されています。
“基調” という言葉では片付かないほど緑色がうるさい。
壁紙もインテリアもパジャマも緑なら、エリックの主治医のスクラブもジャージも緑。
そして登場人物たちはマリーをはじめ、みんなどこかおかしな人たち。
ストーリーが特になく、各人のエピソードを積み重ねているので、どういう終わり方になるのかまったく予想がつきませんでした。
これまでの依頼が、さまざまな理由で一気に終了になった後で老判事にはサドの「ソドムの百二十日」というヘンタイ小説を読まされます。
お試しが終わり再び来訪すると、エリックの主治医とマリーに尋問してきた刑事もいました。
三人並んでマリーの「ヘンタイ小説朗読会」をワクテカして待つ姿に呆れたマリーが朗読者を完全に辞めるところで「読書する女」は終わりです。
でもコンスタンスは…
自分がこれから朗読者になることを決意します。
マリーがいろんなトラブルに巻き込まれているのを見ながらも抑えられない好奇心。
短期間で依頼人を選ぶ、という慎重さがあれば大丈夫…かな?
ちょっと危うさが残るラストです。
エリックの家は緑だらけでしたが、「アリス」の女の子の家は、床やクッションなど所々でモノクロの菱形模様が使われていてアリス風世界観の家になっています。
このおうちは両親がお金持ちなこともあって、白と黒が効いたスタイリッシュな感じです。
そして各家に向かうときに歩く道が、ヨーロッパの雰囲気がある裏道で情緒があります。
奇妙なんですが、こういった絵面やクラシックBGMが素敵な作品でした。
朗読がメインなのでフランス語を学習している人たちにも役立つ映画だと思います。
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