映画「セブン・サイコパス」あらすじと感想【ネタバレあり】伏線はちゃんと回収して (お願い)
「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナー監督が描くクライム・コメディです。
主演はコリン・ファレル。
脇を固めるのはサム・ロックウェル、クリストファー・ウォーケン、ウディ・ハレルソンなど、クセ者が揃ってます。
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あらすじ
ボスの命令でこれから人を殺す予定の下っ端マフィアたち。
橋の上で取り留めもなく話していると、背後から近づいた人物に射殺される。
その殺し屋は遺体の上にトランプカード “ダイヤのジャック” を乗せる。
ところ変わって、映画脚本家のマーティは行き詰まっていた。
自分が書きたいものとクライアントが望むものに隔たりがありすぎて、キャラクターすら思いつかない。
締め切りはとうに過ぎ、催促の電話がやってきた。
親友で俳優をやっているビリーはマーティを心配していろいろ話を聞く。
タイトルだけは「セブン・サイコパス」と決めており、イカレた7人の血なまぐさいストーリーにしようと考えていた。
しかしサイコなキャラは一人しか思い浮かばず、それすらも書いては消す、の繰り返しだった。
見かねたビリーは、とある殺人犯の話をしてマーティの創作の手助けをする。
ビリーは俳優ではあるが、オーディションで監督と喧嘩をするような三流役者だ。
食っていけない彼は、ポーランド人の年配男性・ハンスと組んで、飼い主が目を離した隙をついて散歩中の飼い犬を誘拐して、懸賞金が出たところで飼い主に返しにいく、という詐欺をやっている。
いつもどおりの手筈で、黒人女性が散歩させていたシーズーを誘拐する。
しかしその犬は、残忍なマフィアのボス・チャーリーの愛犬ボニーだった。
チャーリーはボニーを取り戻すため、手下を使ってビリーとハンスを追い詰める。
自宅で開いたホームパーティーで、酔っ払って同棲中の彼女に暴言を吐いたために家を追い出されたマーティ。
ビリーの家で目を覚まし、ふと新聞に目を通すと、ビリーが「サイコパス募集」という広告を載せていて仰天する。
執筆できないマーティのために一肌脱いでいたのだ。
そしてその広告を見て、ウサギを抱いた「未解決事件の殺人犯のみを殺害してきた連続殺人犯」というザカリアスが、マーティの元にやってきた。
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感想
クライアントからの要望でサイコパスが多数登場するバイオレンス作品の脚本を書かなければいけないマーティ。
だけど本当は、愛と平和に満ちた作品を描きたいと思っています。
そのことを話すと、ビリーは「そんなの面白くない!」と猛反発。
復讐劇にして、もっと過激に、もっとクレイジーに、と言い募ってマーティを説得しようとします。
一緒に聞いていたハンスは「 “目には目を” は、世界を盲目にするよ」とビリーを諭そうとしましたが無理でした。
ハンスは妻をチャーリーに殺されたばかりで苦しんでいる最中でしたが、そう思ってチャーリーへの復讐を諦めています。
皆さまご存知、ハンムラビ法典の教えですが、これは実は “過剰な復讐はやめておけ” という戒めなんですよね。
あくまで同等の罰で許してやれ、という。
(現代の解釈ではこうですが、やはりかつては “復讐・倍返しオールオッケー” という悪法に見られていました)
憎悪を募らせると、視野が極端に狭くなり、思考はそれに飲まれてしまいます。
恋の盲目とはまた別のベクトルで周囲が見えない人物になってしまい、誰もついていけなくなります。
憎悪だけに囚われないように、心のどこかに冷静さも必ず持っていなければいけませんね。
冷酷無比で残虐なマフィアのボス・チャーリー。
だけど愛犬のボニーのことは溺愛していて、誘拐された後、なりふり構わずボニーを探し回ります。
ペットシッターは脅す、犯人のひとりであるハンスの妻は殺す、と人間に対しては非情なのですが、ボニーを返してほしければひとりで丸腰で指定の場所に来い、と言われれば言われたとおりにします。
ボニーちゃん、本当に可愛くて…
これはチャーリーですらメロメロになる愛らしさです。
実際、誘拐して連れまわしているビリーもボニーが可愛くて仕方がない。
“お手” をしてもらいたくて、いつも傍らに置いて必要以上に構っています。
そして連続殺人鬼のザカリアスは、ウサギにメロメロ。
元々は最後に行った殺人、有名な連続殺人鬼 “ゾディアック” が飼っていたウサギたちだったのですが、この子たちを飼育するために、ゾディアックの家に住み着いている次第です。
何十羽もいるから、持ち帰るより確かに効率的ではあります (でも殺人現場なんですよね…)
モフモフの可愛い愛玩動物を前にすると、下僕になってしまう人って多いですね。
強面の人でもこうなるものなのですよ。
可愛いところあるじゃんか~(・∀・) と揶揄したくもなりますが、残念ながら人間には厳しい。
だから黙ってます。
弱っちくて何の力もない、と思える愛玩動物たちですが、その庇護欲をそそるラブリーパワーには、大多数の人間は屈服せざるを得ません。
ヤクザもマフィアもデレデレにさせるあたり、もしかしたらこの世で一番強い力なのかも…、とも思います。
「可愛いは正義」とは、よく言ったものですね。
人体の切断面や残酷な描写などをはっきり見せて、グロ画像に正直辟易しますが、それを緩和させるかのように、犬やウサギなど動物たちの愛らしさもたっぷり見せる癒し画像を入れています (*´ω`*)
でも抱っこの仕方が、足をブランとさせた腰を悪くさせてしまう持ち方だったので「ちゃんとお尻持って支えてあげて」と何度も思いました。
マクドナー監督の作品を初めて観ましたが、イマイチまとまった感じがなく、どこか雰囲気とノリで作ったような印象を受けました。
大筋はちゃんとしているので、それなりにシナリオは練ったのでしょうけれど、なぜか取っ散らかった感じを受けるのはなぜなのか。
若さ?
サイコパスについての私の理解が浅いせいもあるかもしれませんが、もう少し知的で不気味な感じのキャラたちが出てくるのかと思っていたところ、どちらかというとクレイジーな人が喚き散らしてウェーーーイ!!のノリで銃乱射しまくりー、という展開だったので、それがちょっとやかましく感じた、という相違があったためでしょうね。
好きな人にはめちゃくちゃ楽しい世界観だと思います。
ただちょっと気になったのは、最初に出てきた殺し屋が、自分を示す証拠として現場に置くカードが、なぜダイヤのジャックだったのか、という部分が結局最後まで言及されていなかったことです。
なんか、先を観ていくうちに自然と忘れてしまっていたけれど、アレなんの意味があったんだろう?
伏線投げっぱなしはやめて~。
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