映画「エンジェル」あらすじと感想【ネタバレあり】オゾンが描く無垢な恋愛
2007年に公開されたフランソワ・オゾン監督のメロドラマです。
主人公を演じたロモーナ・ガライの出世作になります。
相手役は、その後「スティーブ・ジョブズ」や「それでも夜は明ける」などで演技派と認められたマイケル・ファスベンダー。
その他「ジュラシック・パーク」のサム・ニールやオゾン作品常連のシャーロット・ランプリングなどが脇を固めます。
あらすじ
20世紀初頭。
イギリスの田舎町ノーリーで、父が遺した食料品店で母とふたりで暮らすエンジェル・デヴェレル。
ロマンス小説を書くことが好きで、いつか上流階級になることを夢見ている。
彼女の憧れは学校近くにある豪邸「パラダイス屋敷」だ。
そこでは毎朝、令嬢のアンジェリカが専用の馬車で通学している。
エンジェルの伯母もここで召使として働いていた。
こんな屋敷に住みたい。
エンジェルは学校も休んで一心不乱に小説を書き上げ、出版社に送った。
するとロンドンの出版社から色よい返事があり、エンジェルは喜び勇んで担当者と会う。
担当のセオ・ギルブライトは出版に前向きだが、いくつか修正を要求した。
1文字も変えたくないエンジェルは反発して社を飛び出るが、ギルブライトが折れて無修正で出版することになった。
その日エンジェルはギルブライトに誘われて彼の家に泊まらせてもらうことに。
ギルブライトの妻ハーマイオニーはエンジェルに冷たい視線を向ける。
彼女が出版社の代表で、正直エンジェルの作品を評価していなかったのだ。
そしてエンジェルの粗野な振る舞いにも眉を顰める。
それでも無事に出版され、瞬く間にベストセラーに躍り出る。
アイディアが溢れているエンジェルは次々と新作を発表し、マスコミにも注目されるようになった。
地元ノーリーで新作の出版記念パーティーが行われ、そこで有力者ノーリー卿から彼の姪ノラを紹介される。
ノラはエンジェルの熱烈なファンで、感激のあまり彼女の手に縋りついて一生懸命に賛辞の言葉を並べて崇拝した。
そしてノラの弟エスメも紹介されるが、彼は姉と違いエンジェルの小説にケチをつけてきた。
下調べをせず想像力だけで執筆するエンジェルの弱点だ。
エスメの無遠慮な態度にノラとノーリー卿は恐縮して謝るが、エンジェルはエスメに恋をする。
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感想
衣装そしてパラダイス屋敷やパーティー会場の絢爛豪華さに目を奪われます。
本当に20世紀初頭で使われていた素材を使って作られたものだそうで、その時代の空気が感じられますね。
ベストセラー作家になったエンジェルは、憧れだったパラダイス屋敷を買い取って住み始め、使用人も複数人雇い、自分好みの贅沢な空間に仕上げます。
それと同時にノラが専属秘書に志願してきたので雇い入れました。
おかげでエスメの住所を容易くゲットできます。
売れない画家の彼に大金を払って自分の肖像画を描かせ、さらには逆プロポーズで結婚。
仕事も恋愛も絶好調!
だけどお母さんが亡くなっているので、もしかしたらエスメとの結婚は寂しさを埋めるためでもあったように思えます。
すごく愛していたんでしょうが、エンジェルの愛情表現って相手にすごく甘えることみたいなんですよね。
子供みたいにベタベタと引っ付いて、わがまま言ったり感情のままに行動したりしていて…
ノラやギルブライトに対してもそんな感じですが、夫であるぶんエスメには遠慮なくフルパワーで甘ったれます。
だから、なんとなくエスメが疲れてしまったのも分かる気がしました。
いきなり兵役に行くことにしたのもエンジェルから逃れたかったのかな、と考えます。
実際エスメには結婚前から関係を持っていた人がいました。
一途にずっと思い続けている幼なじみの女性。
彼女はエスメとの子供を産んでおり、休暇のたびに会っていたのです。
でも彼女は他の男性と結婚しました。
この女性が元パラダイス屋敷の御令嬢アンジェリカだったのには驚きました。
エンジェルがそのことを知るのは、エスメが自殺してしまった後です。
おそらくエンジェルと観客が感じたことはシンクロしていると思います。
元カノが住んでいた屋敷に、別の女性と暮らしているエスメはどういう気持ちでいたのだろう、と。
必死に夢をつかみ取った主人公の栄華と転落をハイスピードで見せていて、惹きこまれる作品でした。
でも、ごめんなさい。
エンジェルが亡くなるシーン。
ノラが遺体に縋りついて号泣し、それを見守る使用人の腕に抱っこされてる子猫が可愛すぎて、悲しい場面なのに和んでニヤニヤしてしまいました。
だってこの子のアップで留めになってるんだもん。
ニヤけますって、そりゃ。
動物好きのエンジェルが多頭飼いしているので、犬・猫がいっぱい出てきます。
あぁ、ここ本当にパラダイス屋敷だわ… (*´Д`)住みてぇ
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