「イワン雷帝 第2部」あらすじと感想【ネタバレあり】ここに完成 “おそロシア”
第1部からの続きです。
本来3部作の予定だったのですが、この第2部がスターリンには不興だったためにこれで終わってしまいました。
エイゼンシュテインの遺作になります。
1946年には完成していたのですが、スターリンの死後に公開されました。
いろいろ不遇な第2部です。
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あらすじ
イワン4世を裏切ってポーランドに亡命したクルプスキーは、ロシアを攻めるなら今が好機だとポーランド王に進言した。
現在イワンはモスクワを離れて田舎に引っ込んでおり、反感を持っている貴族たちも抱き込める。
そう聞いて戦争を仕掛ける気になっていたポーランド王だったが、イワンがモスクワに戻ったという知らせが届いて計画は頓挫した。
一方、戻ってきたイワンは、かつての友人コルチョフから貴族や修道院を冷遇していることに対して責められる。
友人の意見を聞き入れようとしていたが、親衛隊からはコルチョフを信用しないように言われた。
そして親衛隊の主導でコルチョフの一族3人を謀反の罪で処刑した。
これでコルチョフとの友情は完全に断たれた。
この粛清によって反対派によるウラジーミル擁立の機運が高まる。
特にアナスタシアを毒殺してまで息子を皇帝にしたがっているエフロシニアは、部下にイワンの暗殺を命じて、その座を付け狙っていた。
そんな折、イワンがウラジーミルを宴会に招待する。
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感想
途中でカラーに切り替わってびっくりしました。
黄金キラキラかと思ったら、意外と赤みが強い色彩でさすが共産こっ…… なんでもないです。
第1部のときから、ウラジーミルは女性に見え、エフロシニアは男性に見えていたのですが、第2部ではさらにそう見える演出です。
宴会の席で「本当は皇帝になんてなりたくないんだ」とションボリしながらイワンにしなだれかかるウラジーミル。
殺されたのがイワンだと勘違いして遺体を片足で踏んづけてドヤるエフロシニア。
もう完全に性別が入れ替わっとるw
第2部は1時間チョイの短さですが、イワンの残酷さが出ています。
母エフロシニアから「王冠を獲れ!」とずっと言われ続けてる、と疲れたように言うウラジーミルに、イワンは自分の王冠を被せ、親衛隊に命じてミニ戴冠式を実現させます。
そして王冠を被せたまま退出させて、イワンだと勘違いした暗殺者にウラジーミルを殺させるのです。
この奸計には驚きました。
ウラジーミルを殺すことでエフロシニアも破滅させます。
なんという上手さ…
この盛り上がったところで第2部は終了。
本当はこの先、第3部では晩年のイワンが息子とその妻を殺して破滅する姿が描かれてもっと面白くなったのでしょうけれど、残念です。
今回のサムネはそのときのことを描いたイリヤ・レーピンの「イワン雷帝とその息子」にしました。
第3部があれば間違いなく描写されていたであろうシーンです。
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前作はこちら
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