映画「17歳のカルテ」あらすじと感想【ネタバレあり】精神障害とこじらせの境界線

ウィノナ・ライダーが製作総指揮も兼ねて主演した作品です。
アンジェリーナ・ジョリーがアカデミー賞助演女優賞を受賞して注目を集めました。
当時若手だったクレア・デュヴァル、ブリタニー・マーフィー、エリザベス・モスらが問題ある少女たちを演じ、ベテランのヴァネッサ・レッドグレイヴやウーピー・ゴールドバーグが支える側に回っています。
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あらすじ
1967年.
アスピリンとアルコールの過剰投与で救急搬送されたスザンナは、両親と医師によって精神病院「クレイモア」に入院することになった。
看護師のオーウェンスに案内されている間も、奇妙な行動をとる少女たちを垣間見る。
スザンナは、ジョージーナという少女と同室になった。
ふと窓から正面玄関前を見ると、パトカーで連行されてきた少女が暴れている。
しばらく脱走してた入院患者のリサだと教えられた。
リサはスザンナを見ると「お前は誰だ。ジェイミーはどうした」と問い詰めてくる。
以前の入院患者を知らないスザンナも、元からリサを怖がっているジョージーナも怯えてしまう。
オーウェンスたちが力づくでリサを引きはがしてくれた。
夜は全員に薬が渡され、就寝中も看護師たちが部屋に確認にやってくる。
翌朝は起き上がる気になれず、何度も寝直すが、過去の陰鬱な記憶が蘇ってきて余計に気分が塞ぐ。
なぜ自分が精神科にいるのか。
そんな苛立ちをオーウェンスや面談のメルヴィン医師にぶつけるのだった。
日中にも薬が渡される。
必要を感じない便秘薬だ。
スザンナはリサの真似をして、飲むフリをして吐き出した。
するとデイジーという患者が便秘薬を欲しがっていることを知り、スザンナはデイジーの部屋に行く。
デイジーがもらっている安定剤を欲しがっているリサもついてきた。
スザンナを仲間と認めたリサはその夜、彼女を地下にある秘密の集会場に招待する。
他の患者たちも一緒だ。
ボーリングをしたり、医師の部屋に入ってカルテを盗み見たり、スザンナも楽しんだ。
そして退院するデイジーのお別れを兼ねた外出日。
スザンナはカフェで知り合いに会い、その場で罵倒される。
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感想
スザンナはメルヴィンの見立てでは「境界性パーソナリティー障害」と診断されました。
しかし何人も精神障害患者を見てきている看護師オーウェンスは、スザンナは病気なのではなく、怠惰でわがまま・今の自分が嫌いで壊したいだけの子供だとお説教します。
自分はこんなところにいるべきじゃない、と思いながら、病気だからしょうがない、と甘えていた部分を見抜いていたんでしょうね。
確かに一見するとスザンナは「まとも」なんですよ。
奇声を上げる子や、すぐに泣きわめく子、衝動的だったり攻撃的だったりする子たちの中に入ると、冷静さや社会性がそれなりに見られます。
だけど普通の人とは少し違っていました。
卒業式で居眠りをしたり、希死念慮があって落ち込みやすい。
ときに喚き散らして医者に反発したり、簡単に良く知らない男性に体を開いたりします。
だけど、どれも… うーん、精神障害というより、傷つきやすい思春期の拗らせ、とも思えるので、オーウェンスの見立ては正解なんでしょうね。
スザンナの痛いところを突いたわけです。
だけどこの精神病棟に馴染んでしまったスザンナは、リサと仲良くなり、彼女の主導についていきます。
この病院から連れ出そうとした男友達トビーのことは拒絶しましたが、リサとは一緒に脱走。
優先すべき人を完全に間違えてしまいました。
まあ、トビーもアレですけどね…
徴兵されて、これから出征だというのに、スザンナを連れてどうするつもりだったんでしょう?
トビーの無計画性には呆れますが、リサも負けず劣らず無計画。
お金もないのにフロリダに行こう、と連れ出したスザンナに言い、まずはデイジーのアパートに寄る、と言い出します。
こっちが本来の目的だったようですが、リサの人の気持ちを慮らない攻撃性のある言動はデイジーを激しく傷つけ、彼女を自死に追い込みました。
しかも嘆くスザンナを横目に、さらに死体蹴りしてさっさと去る薄情さ。
このシーン、上手い構図です。
2階でうずくまって泣くスザンナと、1階のドアから出て行くリサの両方が映る、斜め上からの構図。
意外とこういう映し方をしているのを見たことないので「おおっ、綺麗に収まっている」とちょっと感動しました。
結局リサとは相容れず、クレイモアに戻ったスザンナは反省して退院を目指します。
リサは実は8年も入院している人でした。
感化されてはいけない人だった、とスザンナも気づきましたが、退院前に一悶着ありました。
ホラー的で怖かった… (;´Д`) だけどリサが8年も入院している理由が分かってきます。
一度も面会に来ない両親。
無視され、孤独だったからこそ、ボスのようなふるまいをし、ときどき脱走しては困らせて、周囲に気にかけてほしかったのではないかと。
彼女の心はすでに死んでいました。
それをスザンナに指摘されて、嗚咽したことで、心は生き返ったのかもしれません。
いろいろ考えさせられつつ、面白い作品でした。
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