映画「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」あらすじと感想【ネタバレあり】
ナチスのユダヤ人大量虐殺で中心的な役割を果たした一人、アドルフ・アイヒマン。
逃亡していたこの男の逮捕に執念を燃やし、不正や陰謀に邪魔されながらもイスラエルと協力して追い詰めた西ドイツ検事長の姿を、史実に基づいて映し出した骨太な人間ドラマです。
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あらすじ
1956年、西ドイツ・ヘッセン州の検事長フリッツ・バウアーは、未だに逃げ続けているナチス残党を追っていた。
彼らは何食わぬ顔でドイツ政府やこの検事局にまで入り込み要職についている。
一掃するにはナチスの中でも上層部にいた大物を捕まえる必要があった。
そんな気持ちの重圧からか、ある日アルコールと睡眠薬を飲んで入浴し、あわや死ぬところだった。
周囲からは自殺未遂と見られ、これを機に検事局内ではバウアーを追い出して後釜には元ナチの検察官クライトラーをつけようと画策するが、バウアーは一週間後、何事もなかったように出勤してきた。
しかし報告会を開いても何も進展がなく、脅迫文は送られてくる。
気を滅入らせたバウアーは、デンマークに住む妹に電話をかけ、彼女の誕生日に訪問する旨を告げた。
当日、飛行機に搭乗する前に検事局に寄ったところ秘書から手紙を渡される。
アルゼンチンのブエノスアイレスに住む男性ヘルマンから「アドルフ・アイヒマンが近所に潜伏しており、自分の娘がアイヒマンの息子と交際している」という告発だった。
バウアーは飛行機をキャンセルして州首相の元に駆け込んだ。
ついに大物アイヒマンを捕まえるチャンスがやってきた、と訴えるバウアーに対し州首相は及び腰だ。
ドイツ政府もインターポールも「政治犯には関与しない」という。
そこでバウアーは、国家反逆罪に問われることを覚悟しながら、イスラエル諜報特務機関モサドに協力を願い出る道を選ぶ。
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感想
バウアーはすぐにエルサレムに飛び、モサドの長官イサーと会いますが手紙だけでは不十分だとして空振りに終わります。
モサドを動かすには「間違いなくブエノスアイレスに潜伏している」という第二の証拠が必要です。
ガッカリはしますが、諦めません。
だって主人公だもん!
ここで諦めるようなヘタレでは映画になんてなりません。
検事局には彼を失脚させようとしている勢力もいます。
デンマークで男娼を買った罪で陥れるつもりです。
それを知らないバウアーは、やはり同性愛者の検事カール・アンガーマンを味方につけます。
ふたりはいつしか愛し合い… という展開にはなりませんでしたが、同性愛が犯罪として裁かれ、またその量刑も軽くないことに違和感を持っているアンガーマンを「既存の枠に囚われない調査をする」とバウアーは信頼します。
実際アンガーマンのおかげでアイヒマンの偽名が「リカルド・クレメント」であると分かり、モサドに「第二の証拠」として渡して、ついにアイヒマン逮捕にこぎつけることが出来ました。
腰が引けていたアンガーマンを動かしたのはバウアーの熱意。
執念。情熱。行動。
後退した白髪頭でしょっちゅう咳き込んでいて体調が悪そうな爺ちゃんなのですが、とてつもなく主人公らしい精神性の持ち主です。
彼を突き動かしたのは、ドイツに生まれながらユダヤ人として他国に逃げなければならなかった報復もあったのかもしれません。
しかし根底にはドイツに対する祖国愛が溢れていたことに起因しています。
ドイツを愛している。
だからこそドイツの罪はドイツで裁かれ、その償いが済んでようやくドイツは新しく生まれ変われる。
そしてその当時の若い世代の人たちに新しいドイツを任せたい、と願っていました。
だからこそモサドに、アイヒマンの身柄をドイツに引き渡してほしい、と頼みます。
イサーは了承しますが…
ドイツ政府側が拒否!
バウアーさん… orz
結局アイヒマンはアルゼンチンからイスラエルに移送され、そこで裁判にかけられて絞首刑となりました。
バウアー的には残念な結果となりましたが、彼の若者に託した想いは映像として残り、この映画の冒頭シーンに使われています。
ずっと地道な調査や水面下での陰謀との攻防が続くので華のある映画ではありません。
派手な銃撃戦もないし。
だけど骨子のしっかりした、見ごたえのある作品でした。
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