【洋書】通信講座「コインの冒険」【ネタバレあり】EA初中級コース
「家出のドリッピー」に続き、アカデミー出版が主宰している英語通信講座「イングリッシュ・アドベンチャー」の初中級編です。
作者は同じくシドニー・シェルダン。
朗読はオーソン・ウェルズで、この講座ではフィービー・ケイツも参戦しています。 …が、こちらもドリッピー同様、カセットテープだったんで処分してしまいました( ̄▽ ̄)
今回も最後にもらえるペーパーバックを読んだだけです。
初中級コース『コインの冒険』:イングリッシュ・アドベンチャー – 英語の勉強・学習なら – 英語教材のアカデミー出版 (ea-go.com)
「コインの冒険」概要
デンバーの造幣局で鋳造された1枚の25セント硬貨。
この硬貨を手にした人たちの、人生が変わる大きな出来事を映し出していく作品です。
人によってその人生はラブロマンスになったり、サスペンスになったり、はたまたサクセスストーリーになったりと様々なので、1冊の小説の中でいろんな変化を楽しめます。
TX04-020 アカデミー出版 イングリッシュアドベンチャー コインの冒険 テキスト他 計27冊 CD9枚 亀井俊介他 00R4D 中古価格 |
コインを手に入れた人たち
1番 ローズマリー・マーフィー
女優を夢見てハリウッドにやってきた20代女性。
挿絵ではフィービー・ケイツと同じ外見。
それにも関わらず各映画スタジオから門前払いにされ、仕方なくウエイトレスとして働く。
しかしついに夢を諦め、退職してオレゴンに帰ることを決意。
その日に常連客からのチップでコインを手に入れた。
そして夜遅くの帰り道に暴漢に襲われてコインを奪われる。
2番 ダニー・コリンズ
ローズマリーを襲った暴漢。
彼女が本当にコイン一枚しか持っていなかったので金がない。
そこで一獲千金目指してラスベガスに行き、スロットにコインを突っ込んだけどブタ。
「んだよ、チクショー」と立ち上がったところで、5年前に起こした窃盗の件で逮捕される。
3番 アリス・ジンマー
娘夫婦に家を奪われ、遠くの老人ホームに入れられる道中でラスベガスに立ち寄った60代女性。
ダニーが座ったスロット台で遊び始め、出てきたコインをスロットに入れたら大当たりを出す。
カジノ支配人にお願いして、自分にラッキーを運んでくれたコインを再び手に入れた。
彼女が引き当てた大金をだまし取ろうとしている娘婿の策略に乗らず、豪華ヨーロッパ旅行に出かけていく。
ローマのトレビの泉 (実際は間違えていた) にコインを投げ入れる。
出番が一番多く、作者の思い入れのほどが伺い知れるキャラクター。
個人的には、前半が可哀想で読むのがちょっとツラい。
この間、泉からホームレスがコインを取り出してバーに行き、バーテン → 新聞販売人 → 靴磨き、と渡っていきます。
4番 ドナルド・アダムス
靴磨きからのお釣りでコインを手に入れた、バカンス中のアメリカ人建築家。
営業担当で共同経営者のピートが横領していると聞いて気持ちが浮かずに早々にバカンスを切り上げて帰国する。
ピートと話し合うが、経営方針の違いから対立。
どちらが会社を去るか、コイントスで決めることにして件のコインを使って勝利。
ピートをクビにして殺される。
遺体は人が滅多に踏み込まない渓谷に埋められるが、彼のポケットから落ちたコインが輝きを放ってハンターの目に留まり、早期の発見につながった。
このストーリーでは、コインの所有者ではないピートの目線が中心になっていて、ドナルドのほうが脇役になってます。
5番 ロジャー・ベンソン
ピートを逮捕した刑事。
証拠品であるコインをポッケナイナイ。
もう刑事であることも冷たい家族にもウンザリしている。
不倫の恋を貫き、憧れのフォトグラファーの道に進むため、自殺を偽装してカナダに逃亡しようとする。
途中の橋で通行料金を支払うのにコインを使ったら、開通500万人目の通行者としてマスコミに囲まれてしまって失敗した。
大当たりラッキーがアンラッキーになる、皮肉の効いた一遍です。
ここでまた通行料金からいろんな人の手に渡ります。
6番 ジェームス・マディソン
暴君丸出しの巨大企業経営者。
溺愛する一人娘エリザベスの誕生日プレゼントのお釣りでコインゲット。
しかし財布ごと道端に落とす。
またもや輝くコインに目を留めた青年リチャードが拾って届けに行くが、泥棒呼ばわりして警察に逮捕させた。
この話はエリザベスとリチャードのラブコメディになっていて、マディソンは悪役です。
7番 フェルナンド・ゴンザレス
マディソンの会社で経理を務めるメキシコ人。56歳。
昇給を願い出るもクビを言い渡され、復讐として会社の金を盗んでメキシコに逃亡。
会社からは金庫だけではなく、マディソンの机からコインも盗み出した。
砂漠の真ん中で車が故障し、途中から札束が詰まったスーツケースを引きずりながら歩いてメキシコに向かう。
熱中症でフラついたところでガソリンスタンドと飲み物の自販機を見つけるが、スタンドは閉店。
そして自販機のスロットにコインを入れようとするも、手が滑ってコインを落としてしまう。
探しても砂に埋もれてしまいコインは見つからず、ゴンザレスは熱中症と脱水症で息を引き取った。
8番 ペドロ
ゴンザレスの死体を発見したメキシコ人青年。
そばにあったスーツケースの中の札束に驚きながらもお持ち帰り決定。
ゴンザレスが落としたコインを見つけて、そのまま自販機でコーラを買ってからスーツケースを持って帰った。
作中で一番の棚ぼたラッキーマン。
ちなみに警察に届け出ることはせず、ゴンザレスの遺体は放置していった。
自販機からまた紆余曲折を経て…
9番 ジェニングス・ラング
作家志望の21歳。
ホットドッグを買ったお釣りでコインがやってきた。
父親から家業の家具製作工場を継ぐように言われているが反発。
半年で作家になれなかったら家を継ぐ、という約束を父親としており、タイムリミットが迫ってきている。
最後の挑戦で、ニューヨークの大手出版社マッコーミック&カンパニーに原稿を送る。
その送料にコインを使った。
郵便局から流れ流れてニューヨーク
10番 テルオ・コバヤシ
マッコーミック&カンパニーの敏腕編集者。
結婚10周年記念のシャンパンを買ったお釣りでコインを入手。
ジェニングスの小説にモーレツに感動し、出版を約束する。
その帰りに暴漢に襲われて逃げ回り、公衆電話にコインを入れて911に連絡した。
受話器を置いたらコインが戻ってきたので、またポケットにしまい込んでから気絶して病院に搬送される。
11番 うっかり看護師
名前は出てきていない。
搬送されたテルオのポケットから落ちたコインを、後で返そうと思って拾っておくがすっかり忘れている。
催眠療法の小道具として医師に手渡したが、ちゃんと返してもらった。
その後、デリバリーのチップにコインを使う。
12番 クライド・ハリソン
ダンサーを目指す17歳の黒人少年。
デリバリーのバイトでうっかり看護師からコインをもらう。
その日の午後に、友達にコインをあげた。
劇場前のストリートでブレイクダンスを披露して注目を集める。
友達からまたコインは人の手を渡っていき…
13番 ボブ・フォッシー
実在の有名人。
クライドをスカウトし、この金で自分に連絡してきてくれ、と言ってコインをクライドに渡す。
これでコインはまたどこかに流れていき、汚れて傷んだコインは再び造幣局に行って新たに生まれ変わります。
ラストはそれぞれの主人公たちのその後が描かれ、コインが再びローズマリーの元に行き、彼女の娘に渡されたところで終わりです。
感想
主人公がクルクル変わるロンドのような小説です。
お金という、人から人に渡って行きドラマを生み出す物質を、大金ではなくあくまで1クォーターの小さなもので大きく人の運命を変える意外性に面白さがあります。
コインを手にしてから手放すまでの簡単な人物紹介にしましたが、彼ら彼女らの行く末は、コインを手放した後もきちんと描写されているのでモヤモヤが残りません。
丁寧に書いてあるので、状況が変わっていくにも関わらず一つ一つのエピソードに深みがあります。
英語学習的には、「ドリッピー」よりも長めの文章が多めです。
なんとなくの意味はつかめても、日本語に訳しにくいものもあって、少々手強さを感じました。
単語のほうも、英検2級くらいのレベルです。
ガッツリ読むと結構時間がかかりますが、内容が充実しているので「読んだーっ!」っていう充足感がありますね。
数年ぶりに読み返しましたが、楽しかったです。
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