映画「さざなみ」あらすじと感想【ネタバレあり】静かに沸き立つ不信感
シャーロット・ランプリングと、「ドクトル・ジバコ」のトム・コートネイが老年の夫婦を演じるヒューマンドラマです。
あらすじ
イギリスの田舎に住むジェフとケイトのマーサー夫妻。
子供はおらず、愛犬1匹と二人だけの暮らしである。
週末に結婚45周年記念パーティーを開くことになっている、
会場の手配や演出など、主にケイトが準備を進めていた。
そんな折、スイスの山にある氷河から見つかった遺体が、ジェフの元カノ・カチェの特徴に一致している、という。
それ以来ジェフはスイスに行きたがったり、カチェのことを話すことが多くなる。
そのたびケイトの心にさざなみが立ち、次第にジェフへの不信感が芽生えてゆく。
感想
特に大きな事件が起こるわけでもなく、静かに進行していく作品なんですが、惹きこまれました。
二人が出会う前の恋愛。
嫉妬したり、「たられば」を考えて落ち込むことに意味はない。
そう思っていても、無神経なジェフの言動にケイトの心は落ち着いてはいられなくなります。
ジェフもまた、意識が大昔に行ってしまい、ケイトやパーティーのことよりカチェのことを考えているのが分かるのが切ないところです。
カチェが亡くなったのは、ジェフも一緒にいた登山の最中でした。
彼女はガイドと一緒にカーブを曲がってジェフの視界から消えたところでクレバスに落ちていたのです。
彼女を助けられなかった罪悪感や、最後に一緒にいられなかった後悔があるから、余計にジェフにとっては忘れらない人だったのでしょう。
婚約していた、とまで聞いて、ケイトは「カチェが生きていたら彼女と結婚していたのか」と聞きます。
ジェフはあっさりと「そうだ」と答えました。
…… (絶句)
ケイトにしてみたら「自分の存在は…」って考え込んでしまいますよね。
こういうこともあって、パーティー直前にしてケイトのジェフへの愛情は完全に醒めたようです。
厳しい顔をしながらジェフに「パーティーでは笑顔を作って」と命令します。
二人で「仲のよい夫婦」の演技をしてパーティーをやり過ごすことにしましたが、ジェフのスピーチの空々しさに、ケイトの表情は作り笑いが難しくなっていることが分かります。
このパーティーが終わった後、この夫婦がどうなるかは観客の想像に任されます。
投げっぱなしなラストに不満が出そうですが、長く夫婦をしてきて安泰だと思っていた日常が些細なことで壊れていく、というのがメインテーマなので、あえてラストは見せないというのもアリかと思いました。
いろんなラストを想像出来ますね。
2015年の作品なので、このときシャーロット・ランプリングは67か68歳くらいです。
腰も曲がっておらず背筋が伸びていて、声もしゃがれていなくて明瞭。
シミやシワは刻まれていますが、若々しくてカッコいい (∩☆∀☆)∩
田舎の主婦役に違和感はありませんが、やっぱり女優として第一線で活躍してきた人だけあるな~、と魅了されました。
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