“ゴダールのミューズ”アンナ・カリーナさんの訃報を受けて その魅力とオススメ映画も紹介

2019年12月14日に、ヌーベルバーグの巨匠ジャン・リュック・ゴダール監督の元妻で、彼のミューズと言われたアンナ・カリーナさんが癌でお亡くなりになったというニュースが届きました。
アンナ・カリーナについて
1940年デンマーク生まれ。
モデルとして活躍し、17歳でパリに移ります。
“アンナ・カリーナ”という芸名はココ・シャネルが名付けました。
60年にゴダール監督の「小さな兵隊」でフランス映画デビュー。
以後、監督に気に入られ数多くのゴダール作品でヒロインを務めます。
親しみやすい丸顔に、吸い込まれそうな大きな瞳。
ただ可愛いだけではない意志の強そうな雰囲気があり、小悪魔的な役柄もよく似合っていました。
スタイルも良く衣装やスタイリングも自分で決め、ファッションアイコンとして女性たちの目も惹きつけます。
ゴダールが彼女に執心する気持ちがとてもよく分かるくらい魅力に溢れた女優さんです。
オススメの出演作
気狂いピエロ
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「勝手にしやがれ」と並ぶゴダール監督の、ひいてはヌーベルバーグの代表作のひとつです。
退屈な生活から抜け出したい男フェルディナンと一緒に逃避行をする昔の恋人マリアンヌ役をカリーナは演じています。
猫のような気まぐれさで、フェルディナンに寄り添ったと思うと不満を爆発させて彼を裏切るファム・ファタール。
寡黙な演技をするジャン=ポール・ベルモントとは対照的に、歌ったり踊ったり軽やかに動いて表情もクルクル変わるカリーナから目が離せません。
内容的には鬱映画なのですが、彼女のファッションや、写真のような美しいショットの連続を堪能できます。
女は女である
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ゴダール作品で一番好き♡
これが出演作品2作目のカリーナは、同棲している彼氏エミールとの赤ちゃんを欲しがる女の子アンジェラ役。
他のところのコメントでも書いたんだけど、ベビードールを着て髪型はツインテールという格好で、可愛い笠つきのスタンドライトをパラソルのように持って本棚とベッドを往復するシーンがすごく可愛くてメチャクチャ印象に残っています。
しかも「お互いにもう口きかない」というケンカなもんだから、言いたい言葉をいちいち本から探して指で示して相手に見せる、と行動も可愛い。
「ピエロ」のときとはまた違った、コケティッシュでキュートな魅力が出ている作品です。
女と男のいる舗道
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女と男のいる舗道(特典:ゴダール初期短編集『男の子の名前はみんなパトリックっていうの』『シャルロットとジュール』『水の話』) Blu-ray 新品価格 |
女優になる、という目標を目指して一生懸命にその道に進もうとしているのに娼婦に身を堕としてしまう女性ナナの役です。
冒頭、暗い映画館の中で食い入るようにスクリーンを見つめるカリーナの表情が記憶に残ります。
そのとき観ていた作品が「裁かるるジャンヌ」というのは象徴的でした。
カリーナにしては表情に乏しい役柄でしたが、履歴書に身長を書き込まないといけないとき、自分の指で測るシーンは「相変わらず可愛いなこの人」と思わせます。
そしてラストシーンの衝撃。
フランス映画特有の、余韻や後日談のようなものを残さずぶった切るようなラストに、観客は置いてけぼりを感じながらもその後の展開をアレコレ想像する感じ。
好き嫌いが分かれると思うけど、個人的にはこういうぶった切りラストはすごく好きです。
この作品もそういうタイプで、ぶった切りだからこそ心に残ります。
どの作品も観たのはずいぶん前なので、記憶違いや勘違いしている部分があると思います。すみません。
でもどれもアンナ・カリーナの魅力が伝わる作品ばかりです。
未見の方はぜひ見て欲しいな、と思います。
ゴダール作品はストーリーが分かりにくいし、意味不明なシーンが唐突に入ったりして難解なのですが、雰囲気を味わっていただければ良いかと(;^ω^)
まとめ
紹介した作品以外にも「ぼくセザール10歳半1メートル39センチ」やマリオン・コティヤールが主演したテレビ映画「クロエ~無垢な娼婦」で、主人公たちを助けるキーパーソン役で出演しています。
若いときから特徴的だった芯の強い女性という雰囲気にさらに磨きがかかり、本当に頼りになる気っ風の良い姐さん風の女性がよく似合っていました。
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今回の訃報を聞いて本当に残念でなりません。
79歳というご高齢でしたが、1年前に来日したときも変わらずファッショナブルで生き生きしていて素敵でした。
ヌーベルバーグを代表する女優として、この先も残っていく作品からまたファンになる人も現れるでしょう。
永遠のファッションアイコンです。
ご冥福をお祈りいたします。