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映画「乙女の祈り」あらすじと感想【ネタバレあり】多感な少女たちの純粋さと残酷さ

2023/06/17
 
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駆け出しライターのポムりんごと申します。 最近はめったに雪が積もらなくなった雪国在住。 映画や海外ドラマの視聴が趣味で、それが高じて英語学習もやっています。 英検準一級。TOEIC780。 漫画やゲームも好きな完全内向型。 家にこもってわがまま(セルフィッシュ)三昧に日々過ごしてます。

1954年にニュージーランド・クライストチャーチで起きた少女ふたりによる殺人事件を、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン監督1994年に映画化しました。

演技派女優ケイト・ウィンスレットのデビュー作です。

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あらすじ

ミッション系のお嬢さま学校に通う14歳のポーリーン・パーカーは、かつて脚に大怪我を負って休学していたことから周囲に馴染めずにいた。

父はサラリーマン。

自宅を下宿として間貸ししているので、母は家族のほか下宿人たちの面倒も見ている。

駆け落ちから一緒になったため、母とポーリーンとは苗字が違っていた。

そんな負い目から、両親は多少無理してポーリーンにきちんとした教育を受けさせようと名門女子校に入学させたのだ。

そんな暗い日々を送っていたある日、転校生がやってくる。

大学教授の父と結婚カウンセラーの母を持つジュリエット・ヒューズ

身体が弱く各地を転々としていた彼女は物知りで、語学も堪能だった。

生粋のお嬢さまだが、感性がユニークで教師のことも小馬鹿にしている彼女をポーリーンは好ましく思った。

自分と似ているものを感じたのだ。

実際にふたりは共通点が多かった

どちらも学校に通えなかった時期があり、体育も参加できない。

空想癖があり、その物語を小説にする文才がある。

次第にふたりは一緒に物語を紡ぎ出し、その人物たちになり切る遊びに熱中し始める。

親友という言葉以上の関係だった。

しかし、ふたりの親密ぶりは次第に両親たちを困惑させていく。

特にジュリエットの父ポーリーンの母は心中穏やかではない。

ある日ジュリエットが肺結核を患い入院療養することになった。

逢えなくなったふたりは頻繁に手紙を出し合い、互いの大切さを確認し合う。

だがジュリエットの両親は離婚することに決め、これを機にふたりを引き離すことにした。

父はイギリスに帰国し、母もしばらくしたら不倫相手と他国に引っ越す。

そしてジュリエットは南アフリカの叔母の家に預ける、というのだ。

ジュリエットは泣き叫び、事情を聴いたポーリーンも彼女を抱きしめて嗚咽する。

どうすれば二人は離れ離れにならずにすむ?

懸命に考えた末、ポーリーンは自分たちの友情を煙たがり、いつも自分を監視して口うるさくしている自分の母が、自分たちの仲を引き裂こうとしている首謀者なのだと思うようになった。

自分の母さえいなくなれば、ふたりは永遠に一緒にいられる。

そう思い込んだふたりは、ポーリーンの母を殺害することにした

 

感想

多感な少女たちの純粋さと残酷さが、ジャクソン監督の映像美も相まって美しく哀しい物語に昇華されています。

殺されるポーリーンのお母さんは、ひたすら娘のことを思い支えようとしていたのですが、その気持ちは反抗期のポーリーンにとっては「無理解のくせに過干渉」にしか映らなかった。

そんな母と娘の心のすれ違いがまず哀しいし、愛する娘に何度も何度も殴られ続ける母の心中を思うと切なくなります。

母のことが鬱陶しくて仕方がない、というポーリーンの気持ちも分かるんですけどね…

下宿人の男と関係を持ったのも、母への反抗心からだったのでしょうし (思春期特有の思考の飛躍。彼女のなかでは筋の通った理屈があるのだろうけれど、他人からすると何故その結論に至るのか理解ができないってものが働いた、と推測)

 

中二病というか、本当に中二の年齢だから仕方ないですが、空想好きのふたりが一緒に空想世界を構築して共有する。

その共有が余計に現実世界と剥離させてしまったんでしょうね。

大人たちには理解してもらえず、ますます自分たちだけの世界に没頭する悪循環になりました。

排他的で“自分たちだけが高尚な人間”と周囲をバカにする精神傾向が、この悲劇の引き金だったと思います。

この二人の心理・思考の流れを丹念に追っていく過程が丁寧なので、どんどん惹き込まれました。

 

一緒にいるだけでハイテンションになって笑い転げ、ままごとのように互いを空想の名前 “デボラ” “チャールズ” と呼び合い、一緒に小説を書いていく。

誰にでもあるような楽しい少女時代。

徐々に両親との関係に怒りや悲しみを抱き、最後には抑えが効かなくなった殺意を嬉々として実行する残酷さ。

目が離せなかったです。

 

この事件は、1970年のフランス映画「小さな悪の華」でもモチーフとして使われています。

この「乙女の祈り」は事件そのものを題材にしていますが、「小さな悪の華」は、思春期の少女たちの残酷さを参考にしているだけで、殺される人物も違いますし、結末も違っています。

こっちもすごく面白い作品です。特にラストが衝撃的

残酷で美しい少女たち、というのに興味がある方にはオススメです。

 「小さな悪の華」あらすじと感想【ネタバレあり】

 

ご存知の方もおられるでしょうが、犯人のひとりジュリエットは釈放後イギリスに帰国し、アン・ペリーと改名してミステリー作家として活躍しています。

そしてポーリーンは釈放後、オークランドに移り住みました。

二人ともすでに80歳となり、殺害した母の年齢を超えています。

今そのことについて、どんな心境になっているのか、教えて欲しい気持ちがあります。

下世話な好奇心からですけどね。

でも後悔し反省し、気の毒なお母さんに心から懺悔していますように、と昔は乙女だった「オバチャンの祈り」を捧げます (いらん)



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